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10/18 「スラッシュファンダム研究」 小谷真理先生

ファンダムの長所と問題点                 

 

 

ファンダムは長い期間にわたって根付いてきた一つ文化であり、歴史の中でだんだんと社会に受け入れられつつあるものである。私はこのファンダムについては長所と問題点の側面を持っていると考える。

まず長所は、ファンダムが大きくなり、認知度が上がると、一般社会における「ファン」や「オタク」が受容されやすくなり、彼らにとっては自分の好きなことに対して没頭することが容易になるということが大きな点として挙げられる。最近は大幅に受け入れられているオタクだが、1988年の東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件のイメージから、危険、キモいなどの言葉を当てられることもあり、悪いイメージが付きまとっていた。

そんな中でファンダムフィクションである「電車男」「腐女子彼女。」のように人気俳優を起用して映画化されたことは、ファンダムのイメージアップに大きく影響しただろうと思う。

問題点は、ファンやオタクがファンダムに固執しすぎてしまうことによって、逆に一般社会との壁を自ら作り出してしまう危険性があるということだと考える。

私自身もオタクに分類される人間であり、これを実感することがある。好きなことに没頭するのがオタクであるために、話の通じる相手、すなわち同じファンやオタクと交友関係を深める。そのために、どうしても世間の流行などについていけず、オタクでない友人や知人とコミュニケーションをとる時に話す話題に困ってしまうことを恐れ、そのような人々から遠ざかってしまう。

 

この連鎖が続いてしまうと、かつてのようにオタクはコミュニケーション能力が低いものだと認識されるようになるだろう。ファンダムが一般的に受け入れられていても、その中に閉じこもってしまうことはまた問題だと考える。

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